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ビート板と歯形

小学生の頃、水泳教室に通っていたとき、プールの端にビート板がいくつもあった。

そのビート板は、僕の記憶のなかでは、結構ぼろぼろだった印象がある。子供だったから、別にビート板がぼろぼろであることの理由を考えることもなかった。なんとなく、そういうものなのかな、と思っていた。

以前、ある番組で、スイミングが得意な芸人たちと、また入江さんや池江さんなど世界的な水泳選手たちが、「スイミングあるある」を挙げるというコーナーがあり、このあるあるの一つが、「ビート板に歯形がついている」「ビート板が必ずどこか欠けている」というものだった。

綺麗なビート板が存在しない、歯形がよくある、といった意見が揃ったことに、スタジオも驚いていた。

僕もびっくりした。ビート板がぼろぼろだとは思っていたが、あれは「歯形」だったのか。

番組内では、歯型がつく理由についても語られていた。どうやら、これは子供たちがビート板を「かじる」ことによってついていたようだ。

正直、「ビート板をかじる」という意味がよく分からなかった。

話を聞くと、水泳に関してうまく行かずにイライラしたり、ビート板の硬さがちょうど噛みやすい柔らかさであったり、といった理由から、子供にとっては「噛みたくなる」ようだ。

爪を噛んでしまう癖がある、という話はあるが、爪噛みの癖と同じようなことなのかもしれない。

調べると、Yahoo!知恵袋にも、なぜビート板に歯形がついているのか、という件に関する質問と回答が掲載されていた。

Q、市民プールなどでビート板に歯形を付ける人って何を考えて歯形を付けるのでしょうか? 使う立場から言うと、はっきり言って不快です。

A、子供はなんでも手元にあるものを口で確認する習性があります。よく事件になるたばこを飲んじゃったとかあるじゃないですいか。あれが小学生くらいまで残ります。それのせいでビート板に歯型をつける子がいるのです。

出典 : Yahoo!知恵袋

この回答を見ると、単純に、なんでも口にしてしまう子供の癖が小学生まで残ってビート板を噛んでしまう子もいる、という意見のようだ。

確かに、色々と幅広い年代の子が通っているし、そういった子供がいても不思議ではないと思う。

一方で、このビート板にある歯形の理由に関して、子供たちのストレスが要因になっている、という指摘もある。

私が通うプールの100枚近いビート板全部と言っていいくらい、周りが欠けている。時々水面にも小さなかけらが浮いているので、子供たちがふざけて噛みついているのだろうと思っていた。

先日、スイミングアドバイザー・木原光知子さんのコラム『ビート板の歯形・子どものストレスに驚き』(読売新聞)を読み、エッそうだったの!とびっくり。

★まるでネズミがかじったような歯形がついたボロボロのビート板を目にし、あまりのひどさに首をひねった。

原因は家庭や学校で抱えた様々なストレスが、他に発散する術もなく柔らかくかみつきやすいビート板に向かったようだ。

子どもたちは「水泳の指導」だけではなく家庭や学校と違う非日常的な空間、親の干渉を受けることなくエネルギーを発散できる時間を水泳に求めていたことが解り、レッスン中に自由に遊べる時間を作った結果、歯形は減ってきた…★

出典 : ビート板|ニット美津江・ダイアリー

家庭や学校で抱えたストレスの吐け口として、ビート板に向かっていた、と。

これが本当なら、「ぼろぼろのビート板」というのも、結構深刻で悲しい話になってくるなと思う。