先日、朝起きたら、鎖骨の右側に、身に覚えのないひっかき傷のような傷ができていた。特に痛みはない。猫が引っ掻いたり、細い針でつけてしまったような傷で、赤い線が残り、割としっかりと傷になっている。全く心当たりがない。でも、過去にも、朝目が覚めたらひっかき傷のようなものがあったという経験があり、理由はわからないものの、また同じようなことが起きたのだろう、と思った。そして、その翌朝、今度は左腕に、長めのひっかき傷が残っていた。どちらも寝ているあいだについたものだと思う。
夏の暑さが辛いということもあり、寝汗で痒くなって、寝ながら掻きむしって傷になってしまっているのかもしれない。あるいは、日頃のストレスが、睡眠中の自傷行為的なものとして現れているのだろうか。ストレスは確かに強く、もともとの持病も悪化している。精神的にも苦しい。発散方法もなく、だから、睡眠中に自傷行為的な発散をしていてもおかしくはない。でも、爪はある程度ちゃんと切ってあり、こんなにくっきりひっかき傷がつくほどには伸びていない。そもそも、わざとつけようとしても、なかなかこんな風には傷はつけられないように思う。また、傷がついただろう夜に、悪夢のようなものを見たわけでもない。
ネットで調べると、ポツポツと同じような謎のひっかき傷現象に悩んでいる人がいた。でも、原因ははっきりしていなさそうだ。なかには、動物の霊だと言っている人もいる。心霊系は、なんだか気が滅入りそうだから、それ以上は見ないようにした。それから、かまいたちだという声もあった。
突然皮膚が裂けて、鋭利な鎌で切ったような切り傷ができる現象。気候の変動で空中に真空部分が生じたとき、これに触れた人体内の空気が、一時に平均を保とうとするために起こるといわれる。昔は目に見えないイタチのしわざと考えられたところからいう。越後の七不思議の一つに数えられ、信越地方に多い現象。
かまいたちは、もっと鋭利で激しい傷のような印象がある。ただ、こんな風に、何か名前がついてもいいような、不思議な現象ではある。僕の傷の場合、なんとなく、外部から、爪で引っ掻いたというよりは、ストレスによる原因不明の体調不良の一つとして、そういった症状が出ることもあるのかもしれないな、と個人的には思っている。