自然

福岡伸一『ロハスの思考』

福岡伸一『ロハスの思考』

本の紹介

福岡伸一さんは、1959年生まれで東京都出身、分子生物学が専攻の生物学者です。福岡伸一さんの記した本で有名なのは、2007年に出版され、65万部を超えるベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』です。福岡伸一さんの主張に「動的平衡」という考え方があります。動的平衡とは、自ら壊れながら入れ替え、刻々と移り変わりながら一つのものを維持している動的なシステムであり、生命の定義として、「生命とは動的平衡にある流れである」「生命は流れのなかのよどみ」ということを福岡さんは提示しています。

この記事で名言を紹介したい福岡伸一さんの本は、『生物と無生物のあいだ』の前年に出版された『ロハスの思考』です。ロハスとは、環境の保護や健康に関する持続可能な生活様式を指す言葉で、英語の「lifestyles of health and sustainability」の頭文字を取った略称に由来します。この『ロハスの思考』は、科学者の観点から、身近な例も用いながら、ロハスというものの本質や哲学を分かりやすく解説してくれる一冊です。「ロハスとは、ある種の思想革命である」と福岡伸一さんは説きます。

本の名言

環境の世紀といわれる今、私たちが再考せねばならないことは何か。(……)環境が人間と対峙する操作対象ではなく、むしろ人間を通り抜けている流れそのものだという視点である。

薬とは、何かを回復したり、“治す”ものではない。生命現象の流れの一部分をき止めて、ある状態を別の状態に変える作用を果たすにすぎない。

実は、専門家のいう“科学的な”言説ほど、私たちが自分にぴったりした生き方を見つける上で阻害的に働くものもない。なぜか。単純なことである。完全に中立な専門家などいないからだ。専門家は職業であり、彼らはそのテクノロジーが広まることで糊口をしのいでいる。

チベット医学の見解では、身体という宇宙と環境という大宇宙は、絶えずともに手を携えてダンスを踊っているとされる。互いのステップが乱れたり、この両者を突き動かす原動力とのリズムがずれると、そこに疾病が生ずるとされる。

この世界には、部分と呼べるもの、部分として切り取れるもの、あるいは部分として取り出し、他の部分と交換できるようなものは実は存在していない。