SNSのTwitterの世界には、「頻繁にツイートを消す人」がいる。
ツイートを消す際には、過去のツイートをいっぺんにリセットする場合もあれば、すぐにツイートを消す、という場合もある。こういった行為は、一般に「ツイ消し」と言われる。ツイ消しとは、文字通り「ツイートを消す」ことに由来する。
ツイ消しは、男女問わず行われ、頻繁にする人の場合、「ツイ消し常習犯」という呼称もあり、「ツイ消し常習犯です」と自己申告することもある。
なぜツイ消しをするのかと言えば、一つは、「文字の打ち間違いをしたから」というシンプルな理由が挙げられる。誤字脱字や、細かい点では、改行や句読点が気に入らなかった際、一度消してから再度投稿する。
重要なツイートだったり、言葉の外観に多少潔癖な人なら、微妙な間違いでもツイ消しを行ったとして不思議ではない。
ただ、仮にツイートしてすぐにツイ消しをしても、残念ながらフォロワーのタイムラインに一定期間表示が続き、結果、似たような文面が二つ並ぶこともあり、誤字脱字を修正する際は、「訂正部分を、自分のツイートにリプライでつける」という対処法もよく取られる。
一方、誤字脱字が理由のツイ消し以外で「ツイ消し」をする場合には、しばしば複雑な心理が絡み合っていることもある。
僕自身も、ときどきツイ消しを行うことがあるので、一部自己分析も踏まえながら、「ツイ消しの心理」を細かく4つに分けて考えてみようと思う。
基本的には、感情が溜まって抑えきれなくなり、いったん吐き出すものの、吐き出して少しすっきりし、冷静になったら消したくなる、ということが言える。
その際の心理を、さらに細分化することができる。
①誰かを傷つける
まず第一に、自分のツイートが、「誰かを傷つける」かもしれない、という不安が、原因になっていることがある。
自分の呟いたツイートを見直したとき、その内容が、「誰か(たとえば友人やフォロワーさん)」を傷つけている可能性が一瞬でもよぎると、不安や申し訳なさに耐えられなくなり、削除する。
怒りや悲しみの感情に任せてツイートしたことを後悔してすぐに削除するときもあれば、何気なくツイートしたものがタイムライン上に文字として残っているのを見ると、思った以上に鋭利で強いツイートに見える、ということもある。
②嘘つきな自分
ツイ消しをする二つ目の理由として、自分で「嘘をついている」と感知したときに、ツイートを削除したくなる衝動に駆られることがある。
一口に「嘘」と言っても、あからさまな嘘ではなく、もっと繊細な「嘘」を指す。
たとえば自分自身の感情に嘘をついたり、表現の虚飾が行き過ぎていると思った際、まるで鏡に映った全く知らない自分の姿の違和感に耐えきれないような感覚に襲われ、ツイートを削除する。
表面上の嘘はついたとしても、その嘘が自分にとって「ナチュラル」なら気にならないことも多い。一方で、心の奥底の部分で「嘘」になってしまっていると、その「嘘」が喉の奥に刺さった棘のように、どんどんと気になってくる。
そして、ツイ消しするまで痛みが消えないままになる(消してもしばらくのあいだ痛みが残る)。
③暴力的な言葉
ツイ消しをする三つ目の心理的な理由として、(①と若干かぶるが)ツイートの「暴力性」が挙げられる。
たとえ、そのツイートに嘘がなく、本心ではあっても、発したあとのその言葉に宿っている「暴力性」に、自分自身が耐えられなくなる。暴力的、というのは、なにも誹謗中傷のような激しい言葉に限ったことではなく、幸せなことや嬉しいことであっても、それが露骨であればあるほど、自分の呟いたツイートの眩しさに自分自身さえ耐えられなくなる。
周りに合わせて無理をして明るく振舞って、そのあとの落差で物凄く落ちるのと似ているかもしれない。
④愛されたい
ツイ消しをする理由の四つ目として、「愛されたい」「好かれたい」「嫌われたくない」といった心理が関連している場合がある。
誰かにはっきり甘えるならまだしも、甘え慣れていない人が、隠れた甘え心のこびりついている発信をしてしまったとき、ふと冷静になって、急に恥ずかしくなったり、自分自身が気色悪く思え、ツイ消しをしたい衝動に駆られる。
感情を溜め込んでいるうちは一刻も早く言葉にして吐き出したくなるものの、いったん吐き出されると、それは鏡のように自分に向かって可視化され、しかも吐き出したことですっきりしていることもあり、冷静に見えるようになるので、途端に、その文面が耐え難く、気色悪く思える。
以上が、自分なりに考えた、ツイ消しを行う主な心理である。次に、ツイ消しをするメリットとデメリットについても考えてみたいと思う。
メリット
ツイ消しには、ある種の効用がある。
たとえば、絶対にツイ消しをしない、と決めてツイートしようと思えば、一つ一つの発信が重くなり、結局、当たり障りのないこと以外に言えなくなる。
むしろ、あとでツイ消しすればいいや、というくらいの気楽な気持ちでつぶやくことによって、割と本心に近いこと、誰かの心に響くような発信ができたり、ツイートすること自体に慣れる、といったメリットも挙げられる。
この「気楽に失敗できる」という点に加え、ツイ消しをしながら、自分がどういうツイートを削除したくなるかによって自分自身も徐々に見えてくる、という側面もある。
気楽に失敗ができるから、気楽に挑戦ができ、挑戦ができるから、ちょうどいい塩梅も見えてくる。
デメリット
ツイ消しには、デメリットもあり、その一つが、フォロワーとの信頼関係が傷つくことではないかと思う。
せっかく「いいね」をしたツイートが、次の瞬間に削除されると、「あれ、自分のせいかな」と悲しい気持ちになったり、「どうせこのツイートもツイ消しするんだろうな」と思われることで、ツイート自体がどんどんと軽く捉えられ、反応が薄くなっていくかもしれない。
また、人によっては、「ツイ消しする人はメンヘラだ」「うざい」といった感想を持つ人もいると思う。
確かに、あまりに頻繁にツイ消しを繰り返せば、情緒不安定なんだな、メンヘラかな、という印象を抱かれるのは当然だろうし、考えずに感情でツイートをする人なんだな、と思う人もいるかもしれない。その意味では、ツイ消しがあまりに多いと、苦手意識を持たれる、ということもあるかもしれない。
あるいは、先ほどのメリットが裏目に出て、どうせ削除すればいいからと激しい感情を吐き出し、それから慌ててツイ消しをしても、見ている人は見ているし、だんだん歯止めが効かなくなったり、気づくとツイ消し依存症のように癖になっていることもある。
ツイ消しが多すぎると、信頼感が損なわれ、離れていく人も出ていくかもしれない、といったデメリットが挙げられる。
ただ、割とツイ消しは多くの人が行なっていることでもあるので、ツイ消しだけでどうこうというよりも、その削除されるツイートの内容や、頻度とも関連してくる。
ツイ消しには、それぞれメリットとデメリットがあるので、上手に付き合いながら、ツイートする際は一呼吸置くなり、SNSから少しのあいだだけでも距離を置く、というのも一つの方法だと思う。
メンヘラな時しょっちゅうやってた
感情的になって書き込むんだけど、すぐに後悔して消すの繰り返し我ながらめんどくさい性格
今はTwitter自体消して平和