雑学

弓道と弓術の違い

弓道と弓術の違い

日本では、剣道や柔道、華道など、「道」というものが一つの文化として存在しますが、そのなかに「弓道」もあります。

弓道に関する名著として、ドイツ人哲学者オイゲン・ヘリゲルが、自身の稽古の経験を踏まえて行われた母国での講演録を書籍化した『日本の弓術』があります。

文化
オイゲン・ヘリゲル『日本の弓術』オイゲン・ヘリゲル『日本の弓術』 本の紹介 オイゲン・ヘリゲルは、1884年生まれで、1955年に亡くなったドイツの哲学者です。ヘリ...

この本では、弓道ではなく弓術という日本語訳が使われていますが、果たして弓道と弓術には、どんな違いがあるのでしょうか。

もともと弓は、手の届かない場所を走ったり飛んだりする動物を捕食するための道具として世界中で誕生し、日本でも石器時代の頃には使用されていたと考えられています。

その後、中国文化との交流も経て、のちの武家思想に繋がっていきます。

日本古代からの弓矢の威徳の思想と、中国の弓矢における「射をもって、君子の争いとなす。」という射礼思想礼から、朝廷行事としての射礼の儀が誕生。

武家時代には弓矢を通じた礼の思想がうまれ、やがて日本固有の武家思想と結びついていくのです。

出典 : 弓道の歴史|全日本弓道連盟

武器としての弓矢という捉え方が終焉を迎えるのは、織田信長や豊臣秀吉の時代、16世紀頃のことで、鉄砲の伝来が大きなきっかけになります。

次第に弓術は、戦闘具ではなく、心身鍛錬の道に変わっていきます。

そして、平和な時代の続いた江戸時代を経て、明治以降、弓術という言葉が弓道に改められ、いっそう道徳的な側面が強くなります(より詳細な、弓術、弓道の歴史は、全日本弓道連盟のサイトに掲載されています)。

さて、冒頭の疑問である、弓術と弓道の違いですが、ほとんど違いはないという声もありますが、ニュアンスとしては、より心身の鍛錬に特化した現代の日本の弓を弓道と呼んでいると言えるかもしれません。

古くからの武術の一種として弓術、近現代になって精神的な側面が大きくなると弓道、といった区別でしょうか。

また、アーチェリーなども含め、広い意味で弓矢を使ったもの全般を「弓術」と指す場合もあるようです(参照 : 全然違う! 「アーチェリー」と「弓道」の違い)。