歌詞考察

aiko「気付かれないように」 意味と歌詞考察

選出楽曲は、色々な解釈が可能でかならずしも失恋ソングに限らない曲も含め、悲しみに合う曲となっています。

aiko「気付かれないように」 意味と歌詞考察

恋愛の喜びや幸せなラブソングだけでなく、失恋や片思いなど切ない恋の歌を歌い続けているaikoさん。

個人的に好きなaikoさんの片思いソングに、女性目線で綴られた、自分のなかにまだ好きな気持ちが残っている昔の恋人と会ってしまったときの苦しい感情を歌った「気付かれないように」という曲があります。

これは、2006年リリースのアルバム『彼女』に収録されている曲で、それほど有名ではないかもしれませんが、心理描写の繊細な、素朴で静かな名曲だと思います。

そんなaikoさんの「気付かれないように」について、歌詞の考察や解釈を交えて紹介したいと思います。

久しぶりに会った「あなた」

偶然なのか、それとも約束したのか、昔付き合っていた恋人の男性と久しぶりに会ったものの、心落ち着かず、頑張って大人ぶった対応をしてしまう私。でも、内心では思わず泣きそうになります。

声を聞いて泣きそうになるけど
何故だか解らない
もう戻れない悲しみなのか
出逢えた喜びなのか

気付かないように 気付かれないように

aiko「気付かれないように」

その涙の理由が一体何なのか、本人にもよくわかりません。ただ、整理のつかない複雑な感情が混ざり込んでいるのでしょう。

そして、その心の動揺を、彼に気付かれないようにしないと、という切ない思いが歌われます。

彼の指輪

二人で並んで話しながら、ふと、彼の手にある「指輪」に気づいてしまいます。

きっと知らない事ばかりだと
あなたの指輪に戸惑った
このままだって充分じゃない
言い聞かせる手に爪の跡

aiko「気付かれないように」

この「知らない事ばかり」になって、手には指輪もつけている。恋人の存在を象徴する指の指輪なのでしょう。この歌詞からも別れて以降の時間の流れを感じます。

近況を話せなくなって久しく、そのあいだに、向こうはもう先に進み出している。ずっと距離が開いていたものの、こうしてようやく普通の友達として話せるようになりつつあり、だから、このままで充分だと、これだけでも幸せじゃないかと、自分に言い聞かせます。

でも、その指輪が、自分のなかにある未練を深く刺激します。

不安や動揺が膨れ上がると、たとえそれがどれだけ傷つく結果に繋がったとしても、どうしても知りたくなって尋ねてみたくなるときがあります。勇気を出して、その指輪のことを聞きます。

そしたら、今の恋人のことを、「すごく好きだよ」と照れた様子で言う彼。

その言葉と、そしてその雰囲気から、かつて確かに自分のことを好きだったときの彼のことを思い出し、いっそう苦しくなります。

消えない後悔

この曲は、純粋な片思いソングというよりも、失恋ソングか、もしかしたら、もう少し複雑な別れの歌なのかもしれません。

それは、歌詞の後半で、「あの時胸に刺さるほど味わった 消えない後悔」と綴られているからです。

はいあの時胸に刺さる程味わった
消えない後悔
ちゃんと飲み込んで生きてきたはずよ

aiko「気付かれないように」

これは、新しく好きな人ができたから振られたというよりも、むしろ、なにか理由があって自分から別れを切り出したものの、あとになってひどく後悔し、まだ好きだと、もう一度やり直したい、と思っていたのでしょう。

そんな思いを必死に飲み込みながら生きてきた。

でも、彼と久しぶりに会って、その思いはまた揺れだし、同時に、彼がもう次に進みだしていることも知ってしまった以上、なおさら、この想いは気付かれないようにしないと、と思う。

膨れ上がりながらも気付かれないようにと、心をぎゅうっと縮こめるようにしながら、それでも耐えて前に進もうとする、その切なさが伝わってくるようです。