邦楽で聴く、片思い・失恋ソング

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邦楽で聴く、片思い・失恋ソング

誰にも言えない片思いや、叶わない恋の切なさ、失恋や未練で心が押しつぶされそうな孤独で寂しい夜。そんなときに近くで寄り添ってくれるのが音楽です。

特に邦楽は、普段使い慣れている「日本語」だからこそ、その歌詞に含まれた繊細なニュアンスが直接心へ届き、ときには鋭く突き刺さり、ときには毛布のように優しく包み込んでくれます。本を読まない、読書離れと言われて久しいですが、音楽の歌詞を通して日常的に多くの「言葉」や「詩」に触れているとも言えるかもしれません。

僕自身、これまで何度も邦楽の言葉に救われてきました。自分でも整理できないような情けない心を代弁してくれたり、「そのままでいいんだよ」と弱っている自分を肯定してくれたり、胸が詰まって言葉にならない葛藤を吐き出すのを手伝ってくれたり、泣き出したくなるような瞬間にそっと背中をさすってくれたりと、音楽には、冷えた心を温め直すような不思議な力があります。

この記事では、真っ直ぐな失恋ソングはもちろんのこと、解釈の余地が広く必ずしも失恋を歌ったものにかぎらない、孤独なときや別れの悲しみに寄り添う曲も含め、寂しい夜に響く曲をご紹介します。

片思いの揺れる心から、眠れないほど辛い別れの夜まで、今の心に一番近い距離で寄り添う歌が、ここにあることを願っています。

スピッツ

チェリー アルバム『インディゴ地平線』

爽やかなメロディと切なさを帯びた歌詞が強く印象に残るスピッツの代表曲です。「“愛してる”の響きだけで強くなれる気がしたよ」というフレーズは耳から離れない印象深い一節。一見すると明るいラブソングのようで、すでに終わってしまった恋や、戻れない時間への想いが静かに描かれています。

激しい後悔や絶望ではなく、透き通った小さな喪失として失恋が捉えられているような、淡く切ない曲です。

楓 アルバム『フェイクファー』

別れたあとも相手の存在を抱えたまま生きていく、そんな姿を描いた失恋ソング。喪失の痛みを強く叫ぶのではなく、思い出に優しく触れながらそっと受け止めるような曲で、「さよなら」という言葉の裏に、忘れられない気持ちと、一人になってそれでも前に進もうとする意志が滲んでいます。

君が思い出になる前に アルバム『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』

以前はあれほど「今」だった二人の日々や感情が、やがては「思い出」になってしまう。まだ思い出になる前の、かろうじて繋がっているひととき。未練や後悔もありながら、これから流れていってしまうのだろう時間への、切実な心情が伝わってきます。

優しいふりでいい、嘘でいいから、「君が思い出になる前に、もう一度笑ってみせて」という願いが歌われます。

Mr.Children(ミスチル)

CANDY アルバム『I♥U』

諦めなければいけない想いと、それに伴う葛藤を繊細に描いたミスチルのバラードソング。心の奥に仕舞い込んでいた感情が、相手の存在によって再び動き出す。近づきたい気持ちと距離を保とうとする理性のせめぎ合い。

孤独や焦燥感を抱えながら、「みっともない」と思いつつ、どうしても君を欲しくなってしまう。甘酸っぱさと苦さとが混じり合う恋心が、キャンディーの比喩を通して象徴的に表現されています。

しるし アルバム『HOME』

深い愛情と別れの予感が交錯する、複雑な感情を描いた楽曲です。互いを想い合ってきたものの、どこか噛み合わなくなっていく二人の関係性。気持ちを言葉にしようとしても上手く伝わらないもどかしさや、相手が示す微妙な距離感に揺れる心情。

一緒にいても共に生きられない日が来るかもしれないという予感を抱きながら、それでも愛さずにはいられない、矛盾をはらんだ愛の歌です。「愛情の高まった二人の物語なのか、はなればなれになる二人の物語なのか。そのどちらとも受け取れる」と桜井さん自身は語っています。

くるみ アルバム『シフクノオト』

別れてしまった恋人かもしれない、今はもういない誰かに向かって、「ねえ、くるみ」と呼びかけ、この街の景色や今の僕はどう見えているだろう、と問いかけます。「くるみ」とは「来未(未来の反対)」で「過去」だという解釈もあります。

ときの流れ、いなくなってしまった人、あなたの目に、どんな風に見えているだろうかと歌う。穏やかなメロディのなかに、言葉にできない寂しさが描かれます。過去を振り返りながら、それでも、訪れる未来へ歩んでいかないといけない、その複雑な想いにそっと寄り添ってくれる温かく切ない歌です。

ゆず

サヨナラバス アルバム『ゆずえん』

別れの瞬間を象徴的に描いた、ゆずの初期の切なさ溢れるミディアムバラードです。「サヨナラバス」という表現が詩的。バスに乗って去っていく相手を見送る場面を通じて、終わりゆく恋や別れへの複雑な感情が繊細に表現される。本当の気持ちに気づいたときにはもう遅く、互いに素直になれなかった関係や、大切なことを言えなかったもどかしさが、静かな演奏と優しい歌声で丁寧に紡がれている。

桜木町 アルバム『1 〜ONE〜』

横浜の桜木町を舞台に、決断した別れの悲しみを描いた楽曲。具体的な地名が登場することで、失恋の記憶がより鮮明に心に刻まれる。自分たちで選んだ道だと理解しながらも、本当は離れたくなかった本音や、いつか忘れていく相手への寂しさが丁寧に歌われる。新しい未来へ進もうとする決意と、思い出が詰まった場所への未練が交錯し、いっそう切なくさせる。

春風 アルバム『イロハ 1997 – 2017』

春の訪れとともに過去の恋を想い出す曲。ふと昔のことがよぎり、季節の風が記憶を鮮やかに呼び起こす。伝えきれなかった想いや後悔が静かに綴られている。すでに終わった恋だと頭では理解していても、季節の変わり目に突然蘇る感情の揺れ。「君と出会えてよかった」今なら伝えられそうな言葉と、もう届かない現実の切なさが響く。​​​​​​​​​​​​​​​​

クリープハイプ

愛の標識 アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』

終わった恋のあとに残される戸惑いや空白を、静かな比喩で描いた楽曲。かつては確かに進むべき方向を示していたはずの愛が、今はもうどこにも続いていない。その事実を前に立ち尽くす心情が、淡々とした言葉の積み重ねによって浮かび上がる。忘れようとしても消えない記憶と、期待してはいけないと分かっていながら残ってしまう感情。その宙ぶらりんな状態が胸に沁みる。

手と手 アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』

失ってから初めて気づく後悔と、取り戻せない距離を見つめる楽曲。当たり前のように触れていた存在が、ある日を境に遠くなる。その喪失は大げさに語られず、日常の感覚として静かに描かれる。繋いでいた手の温度を思い出すたびに、もう戻れない現実が突きつけられる。別れの痛みだけでなく、時間が経つほど増していく実感の重さが、深い余韻を残す。

百八円の恋 アルバム『一つになれないならせめて二つだけでいよう』

諦めきれない切ない恋心を、そのまま吐露するような歌詞が印象的な一曲。「痛い」と「居たい」を繰り返し、簡単には割り切れない感情が全面に押し出される。恋愛や生き方への不器用さが切実なほど伝わってくる。アップテンポな曲調の軽やかな表現の裏に、痛みと執着が確かに残る。

aiko

えりあし アルバム『暁のラブレター』

別れた相手への未練を描いた切ないバラード。思わず手が出てしまうほど感情的になった過去や、困らせたくて泣き真似をしたわがままな自分を振り返りながら、相手の背中が遠ざかっていく様子が痛々しく描かれている。時が経っても季節が変わっても、相手を好きな気持ちは変わらないという深い恋心と、5年後に再会したら背筋を伸ばして声をかけたいという前向きな決意が交錯する。引きずる恋心のなかで、彼の少し伸びたえりあしやヘタな笑顔といった細かな描写が、忘れられない記憶の鮮明さを伝える。

おやすみなさい アルバム『秋 そばにいるよ』

長年連れ添った恋人との別れを描いた切ないバラード。出会った頃はつい昨日のことのようなのに、二人の関係は嘘のように変わってしまった、そんな現実が静かに語られている。温かな日々のなかで、止まらない言葉に耳を傾けてくれた相手の優しさへの感謝と、その声や楽しかった記憶を絶対に忘れないという決意。心に開いた穴の埋め方は分からず、今も好きだという気持ちは変わらず、それでも、なんとかやってみると前を向き、いつか過去を愛しく思えるようにという心を込めた、最後のおやすみの言葉。

気付かれないように アルバム『彼女』

久しぶりに再会した元恋人との切ない時間を描いた楽曲。思い出が溢れないように大人ぶって振る舞うものの、相手の声を聞いただけで泣きそうになる揺れる感情が繊細に表現されている。指輪を見て新しい彼女がいることを知り、勇気を出して尋ねた結果、かつて自分に向けられていた好意が今は別の人に向いている現実を突きつけられる。胸に刺さる後悔を飲み込んで生きてきたはずなのに、再会によって揺れ動く複雑な心情が痛いほど伝わってくる。気付かれないように隠した未練と、前を向こうとする葛藤が胸を打つ一曲。

BUMP OF CHICKEN(バンプオブチキン)

スノースマイル アルバム『ユグドラシル』

冬が寒くてよかった──君の冷えた手をポケットに招き入れる理由になるから、という暖かな冒頭。雪を待ちわびて口を尖らせる君の姿や、二人の情景が鮮やかに描かれる一方で、後半ではもう君のいない光景が静かに綴られる。右ポケットにしまった思い出を抱きながら、君のいない道を歩き続ける想いが込められた、甘く切ない冬のバラード。

ロストマン アルバム『ユグドラシル』

自分が迷子になっているんだと気づかないふりをしてきた。あの日から止まったままの時間が、喪失の痛みを象徴的に表現する。ロストマン。迷子、失った人。それでも、思い出を胸に、ここを新たな出発点として一歩を踏み出そうとする強さが描かれている。失恋ソングとしても、応援ソングとしても聴けるかもしれない。君を忘れたこの世界を愛せたとき、また会いに行く。そんな約束を胸に、たとえこれが間違った旅路だったとしても、正しさと再会を祈りながら進む。

車輪の唄 アルバム『ユグドラシル』

遠くへ旅立つ君を明け方の駅まで自転車で送る、そんな別れの瞬間が描写される。錆びた車輪が悲鳴を上げながらも二人を運び、君の温もりが背中に伝わる幸福な時間と、涙を湛えながら見た朝焼けの美しさ。そして、君は知らない町へ行ってしまう。改札で引っかかる鞄の紐を外してあげ、君を見送る。言葉にできない切なさが丁寧に綴られている。電車が去った後、賑わい始めた町で世界に一人きりのように感じる孤独と、微かに残る温もりが対比的に描かれている。二人から一人へと変化していく情景が沁みる一曲。

くるり

ばらの花 アルバム『ベストオブくるり』

絶妙なリズムで紡がれる独特の世界観のなかで、触れそうだった二人が、もう一歩を踏み出せないまま遠のいていく切なさが繊細に表現されている。「気の抜けたジンジャエール」という絶妙な比喩が、二人の関係性や感情の推移を象徴的に表している。言葉にできない想いや、曖昧なままの感情が、くるり特有の浮遊感のあるメロディによって心地よく流れていく一曲。

忘れないように シングル『だいじなこと』カップリング

別れと旅立ちを描いた、ノスタルジックな楽曲。思い出となって去っていくあの日々を懐かしむような、忘れられない光景と過去を肯定して次の街に歩み出すような心情が、「何気ない風景と思い出よ、さらば」という一節から伝わってくる。曲調がどことなく明るく、リズミカルでもありながら、空っぽになったような心の中に浮かぶ思い出の断片が、喪失感も物語る。分かりやすくラブソングや失恋ソングというものでもないものの、空虚さにぴったりの一曲。

さよならリグレット アルバム『魂のゆくえ』

懐かしい記憶と別れの重なりのような、温かくもほんのり切ない楽曲。タイトルは、「さよなら後悔」といった意味だろうか。さよなら後悔と言いながらも、もう少しだけここにいたいような、一言では言い切れない複雑な心情も歌詞の世界から伝わってくる。「夢なら醒めてよ」「乗り換えがあるけどどうしよう」「君の声もわかるけど忘れそう」といった一つ一つのフレーズに、切なさが見え隠れする。美しい旋律に包まれて胸に響く一曲。

銀杏BOYZ

東京 アルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』

銀杏BOYZの真っ直ぐな失恋ソング。冒頭、「君と別れて僕は石ころになって 蹴っ飛ばされて転がって疲れた」という一節から始まる。東京にいた二人の日々と、別れて地元に帰ってしまった君。まだ好きなのかもしれない後悔なのか、美しい日々の記憶への郷愁なのか、滲み出るような切ない想いが、バラードの曲調とセンチメンタルな歌詞によって描き出される。

BABY BABY アルバム『君と僕の第三次世界大戦恋愛革命』

失恋ソングというよりも男子目線の片思いの歌。明るい曲調で、「街はイルミネーション、君はイリュージョン、天使のような微笑み」という歌い出しと、その眩しさを浴びるようにして、そんな君を思い出すと消えてなくなりそうだ、という切実な想いが胸に響く。寂しい片思いの歌というよりも、君のことをいつまでも想っていたい、という強い恋心が溢れ出す歌。歌詞の最後、英語で「僕が夢のなかで何度君を抱き締めようとしたか、君は知らないだろう」と歌う。

SKOOL KILL アルバム『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』

銀杏BOYZらしい青春パンクロックな歌。激しい歌詞とアップテンポな曲。好きな子のことが好きで好きでたまらず、妄想も膨らみ、自分の世界のなかで恋し続けていたのに、あるとき、彼女が〈どっかのおしゃれ野郎〉と待ち合わせをしていて、その男の手が彼女のお尻に触れたときの、もがくような切なさが描かれる。危ういほどの駆け出しそうな明るさがありながら、涙も出てくるような歌。

山﨑まさよし

全部、君だった アルバム『YAMAZAKI MASAYOSHI the BEST / BLUE PERIOD』

ふと思い出す、別れのあとの後悔が、優しい音色と声で紡がれる。あの頃、二人の関係が続いていた日々は、悲しみも切なさも、雨も雲も、全てが君だった。ときが過ぎて、遠ざっていくほどに、ますます、かけがえのないものが鮮やかになっていく。もう少しだけ、その悲しみに浸っていたい心に沁みる。

振り向かない アルバム『The Road To Yamazaki – The Best For Beginners』

不甲斐ない自分のせいで、恋人が去っていった。それは自然なことだと、自分自身でもよくわかっている。そんな自分のために失ってしまった時間を、取り戻せるようにと、たとえすれ違ったとしても、振り向くことなく、ただ幸せを祈る、歩き出す、という一歩を踏み出す歌。

One more time, One more chance アルバム『Home』

過去の二人を思い返しながら、もう戻らない時間の痛みを歌う。いつでも探している、どこかで出会えないかと、それでももう出会えない、という痛切な想いが綴られる。映画『秒速5センチメートル』でも注目された歌。死別の歌とも言われるが、失恋ソングとして聴いても響く。

plenty

空が笑ってる アルバム『plenty』

失ったあとのような、空虚さに心地いい音色と歌詞。空っぽの心のなかを流れてゆく雲を眺めているような、少し世界とも距離が置けるような曲。「ねぇ、誰かいないかな」 直接的に失恋が歌われているわけではないものの、淡く、寂しげで、失恋のあとの喪失感にもきっと、江沼さんの声とともに優しく沁み入り、なんだか疲れちゃったな、というときにも寄り添ってくれる。

ひとつ、さよなら ep『傾いた空 / 能天気日和 / ひとつ、さよなら』

ゆったりとしたバラードで、夏の終わりの匂いと、空気感の漂う失恋ソング。戯れていた君がもういない、そんな喪失を大切に包むように、「ひとつ、さよなら」と歌われる。一夏の恋だったのか、夏に別れが訪れたのか、いずれにせよ、永久に続く白昼夢のような、去ってしまった夏の匂いのする歌。

手紙 アルバム『空から降る一億の星』

むかしは理由もなく一緒に過ごしていたのに、次第に心に距離が生まれ、だんだんと遠のいていく関係性の、どこか執着も見え隠れする寂しさが伝わってくる歌。友人関係なのかもしれないし、恋人同士だったのかもしれない。「あなたの姿は声になって─そして声すら懐かしくなって─」という言葉が切実な、もう取り戻せない時間が描写される。

あいみょん

恋をしたから アルバム『瞬間的シックスセンス』

恋をしたから、見つけたものがたくさんあった。空が綺麗だと思えたし、明日が大好きに思えた。そしてまた同時に、恋をしたから、空が寂しく見えたし、明日が少し怖くなった。恋というものは、そんな風に今まで知らなかった、喜びと悲しみ、色々な感情や風景も与えてくれる。あなたに恋をし、重ねられてきた思い出の数々。でも、失恋をし、諦めなければいけない。そんな悲しみが歌われる。

強がりました アルバム『tamago』

恋人に振られた、そして、どこか後悔を引きずりながらも必死に諦めようとする女性の目線から歌われる、切ない失恋ソング。完璧だったはずの二人の仲に、いつのまにか壁が生まれ、距離が生まれてしまった。やがて終わりが訪れる。その別れを受け入れたことを、後悔なんてないと言いつつも、まだ、未練が残る心の奥の叫びのように、「なにもなかったように現れてほしい」と願ってしまう素直な感情が紡がれる。

初恋が泣いている アルバム『瞳へ落ちるよレコード』

こんなにも愛した人はいなかったと思えるような、「初恋」の悲しみを綴った歌。その思い出の様子が、「初恋」の視点からも歌われる。思ったよりもすぐ近くで、初恋が泣いている。いつまでも泣いている。初恋の人へのなかなか拭い去れない切ない感情が、今もずっと残っている。でも忘れたい、そんな葛藤が描かれる。

ドレスコーズ

スーパー、スーパーサッド アルバム『1』

一見すると明るく、アップテンポな曲調ながら、サビも含めて歌詞から漂ってくる失恋の悲しみの切実さが、心の形そのままのようで美しい。「歌にはふたつあって それは僕も知らない歌と ただただ君との日々を思い出すためだけの歌」という一節からは、あらゆる好きな歌があの頃の日々を失ってしまった悲しみに繋がっているんだということが伝わってくる。

わすれてしまうよ アルバム『戀愛大全』

愛しい人への未練も少しあるような、でも、だんだんと忘れていってしまうこと、遠ざかってしまうことの悲しみも感じさせる。あるいは、悲しみのあまり、心が忘れようとしているのかもしれない。そして、ふと思い出して、よみがえってきて、しゃがみ込んでしまう。それでも、愛しい人にさよならを告げる歌。

がっかりすぎるわ アルバム『†』

不思議と落ち着く懐かしい曲調で、「ぼくのあの子はもういない」と始まる。メロディが一貫して哀愁と虚しさとがあって、いっそう歌詞の喪失感が際立ってくる。がっかりすぎるわ──というのは、あの子がいなくなってしまった状況のことか、自分自身への言葉か。ふわふわと漂うような浮遊感が、別れのあとの虚しさと合っている。

きのこ帝国

猫とアレルギー アルバム『猫とアレルギー』

きのこ帝国における、代表的な失恋ソング。「話せなくていい 会えなくてもいい ただこの歌を聴いてほしいだけ」という切実な想いの詰まった冒頭。別れてしまった恋人なのか、未練を抱えながら、確かにあった大切な日々のことを思い返す。彼は、猫に対するアレルギーがありながら、猫を優しく撫でた。猫というのは、「私」が飼っていた猫も愛してくれたということなのか、それとも、「私」のことを意味する比喩で、離れなければいけない理由がありながら優しく撫でてくれた、ということなのかもしれない。

金木犀の夜 アルバム『タイム・ラプス』

心に残るメロディーと切ない歌詞で、一人の夜に聴きたくなる失恋ソング「金木犀の夜」。付き合っていた二人が別れの道を選び、気づいたら時間が経ってしまった。愛し合っていた二人の世界は、ずいぶんと遠くに行ってしまった。

感傷的な夜に、ふと思い出して、声が聴きたくなる。でも、「声が聴きたい」というだけの理由ではもう電話ができない関係になってしまった、電話したくてもできない葛藤と距離が切ない歌です。

愛のゆくえ アルバム『愛のゆくえ』

夢のなかのような淡いメロディーと声音で、心のなかの行き場を失っている愛が歌われる。「会いたいな 泣きたいな」という言葉が響く。失恋なのか、結ばれることが叶わない片思いなのか、もしかしたら諦めなければいけなかった関係性なのかもしれない。そういった関係のなかで、自分のなかにある、誰にも言えない愛。そんな愛も、会いたい気持ちも、泣きたい気持ちも、全部抱きしめて生きていこうとする歌。

RADWIMPS

me me she アルバム『RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~』

バラードで紡がれる、切ない失恋ソング。タイトルの「me me she」は「女々しい」と読み、「she」よりも「me」のほうが一つ多いことから、「彼女よりも自分の感情を優先してしまっていた男が、別れてからもずっと彼女のことを思っている女々しい失恋ソング」といったことが由来と考えられます。こんなに本気の恋は人生に一度あるかどうか、と思うような、純粋な、それゆえ格好悪さもある恋と別れ。簡単には切り替えることができず、本心が迷子になり、葛藤が渦巻いている。

この曲は、そんな「忘れたいのに忘れられない」感情を、恥ずかしいほど正直に歌っています。女々しい。でも、本気で人を好きになったら、一度は味わう感情だと思います。静かな音色と切ない歌声が、失恋の痛みをそのまま受け止めてくれます。

有心論 アルバム『RADWIMPS 4 ~おかずのごはん~』

君があまりにも綺麗に泣くから ぼくは思わず横で笑ったよ──RADWIMPSの初期の代表曲で、一つ一つのフレーズが印象に残る名曲です。

この曲は、直接失恋を歌っているとは言えないかもしれませんが、心の「ありか」を歌ってくれているような歌詞で失恋の夜にもきっと響く曲だと思います。別れたあと、悲しいはずなのに涙が出ないことがあります。感情が麻痺して、何も感じられなくなる瞬間があります。そんなとき、「有心論」のアップテンポなリズムと、哲学的な歌詞が、止まってしまった心を少しずつ動かしてくれるかもしれません。

泣けないほど辛い、というときに聴いてほしい一曲。深く沈みながらも、どこかで呼吸できる余白を残してくれる歌です。

俺色スカイ アルバム『RADWIMPS2 〜発展途上』

この空は今日も俺を見つめてた──青春ソングであり、失恋ソングでもある「俺色スカイ」。歌詞や音楽が、どこか前向きな空気を持っています。

友達と飲んで帰った朝のロマンチックな朝焼け。振られたあとの帰り道の夜空に広がる満天の星空。失ったものではなく、今あるものに目を向けること。別れによる深い悲しみや切なさを描くというよりも、明るい曲調で、「いったん空でも見てみようか」と言ってくれるような、昔馴染みの友人のように優しく寄り添ってくれる歌です。

失恋直後ではなく、少し時間が経って「そろそろ前を向きたい」と思ったときに聴くと、胸に沁みる一曲です。

そっけない アルバム『ANTI ANTI GENERATION』

なんでそんなに そっけないのさ──思わせぶりな相手に対して、もういいよ、と思いながらも、それでも好きだという歌。彼女のほうから寄ってきたのに、急にそっけない態度になって、自分のなかでこれが恋なのかどうなのかもわからない、それでも君と一緒にいたい、という気持ちの揺れが伝わってきます。

たぶん向こうには色んな男の人がいるんだろうけれど、自分はその一人の遊び相手になりたいわけではなく、ただ一人と一人の恋人として繋がりたいと思っている。失恋ソングではありませんが、片思いのような、不思議な距離感のラブソングです。

泣き出しそうだよ アルバム『ANTI ANTI GENERATION』

愛はまだ君の横で笑ってるかい──野田洋次郎とあいみょんのコラボ楽曲で、二人の男女が、互いに素直になれないまま別れを選びながらも、どこか未練が残っている状況を歌った曲です。

別れたあとで他の人と付き合ってみたのか、遊んでみたのか、誰かと一緒にいても、なんだかしっくりこなくて、あの人ともう一度やり直したい、という思いがどこかにありながら、でも踏み出せずに、この宙ぶらりんの感情や寂しさに、今にも泣き出しそうになっている。この曲は、そんな素直になれない二人の歌なのかもしれません。

野田洋次郎とあいみょん、それぞれが男性パートと女性パートを歌っています。

mol-74(モルカル)

エイプリル アルバム『kanki』

美しく繊細な、モルカルの恋の歌。MVも誰かの記憶のような儚い風景が続く。歌詞には、恋人と別れたあとの情景が綴られる。失恋というよりも、男性のほうから振ったのかもしれないし、自然と終わりに向かっていってしまったのかもしれない。恋が終焉を迎え、変わっていってしまう自分と、変わらない四月の風景。

花瓶 アルバム『記憶のすみか』

ファルセットの響く、ばらの花言葉を歌った失恋ソング。画面のなかで笑ういつかの二人を見ながら、やがては花のように枯れてしまうことの儚さを思う。あの頃は別れが訪れるなんて思いもしないような幸せだった時間、あの綺麗に咲いていた花のような日々が、まだ忘れられずに、広くなった部屋にひとりでいる。

まるで幻の月をみていたような アルバム『まるで幻の月をみていたような』

失恋を歌った幻想的なバラード。夢だったのかもしれない、と思うような、儚く薄れていく二人のあいだに確かにあった時間。いつのまにか覚えていた夢の忘れ方のように、自然と僕らの時間も忘れていくのだろう、と歌う。歌声と演奏と歌詞、その全てが美しい、悲しみと光の歌。

米津玄師

メトロノーム アルバム『Bremen』

同じリズムで刻んでいたはずの二人の時間が、気づけば少しずつずれていた。ずれが次第に進み、離れていくことを止められなかった。傷つけ合い、すれ違いを重ね、そしてまるで最初から決まっていたかのように関係は終わりを迎えた。別れても消えない想い、募る未練。「あなたがいてほしい」という切実な気持ちが溢れる、米津玄師の切ない失恋ソング。

シンデレラグレイ アルバム『Bremen』

大切な人を失った女性は、華やかな街の色彩のなかで、ひとり灰色に佇んでいる。もっと素直になれたらと、今になって後悔しているのかもしれない。今さらになって気付かされる「あなたという不自由だけが、あたしを自由にしていた」という言葉が深く刺さる。女性目線で作詞される、行き場のない感情の吐露。

Lemon アルバム『STRAY SHEEP』

共に過ごした日々の悲しみや苦しみさえも、愛おしく思えてしまう。その記憶は酸っぱいレモンの香りのように心に残り続け、同時に切り分けた果実の片方のように、「私の光」でもある。この曲は、大切な人との死別を描いたとも言われるが、失恋の歌と解釈して聴いても響く、米津玄師の別れの歌。

SEKAI NO OWARI(セカオワ)

YOKOHAMA blues アルバム『Lip』

二人でよく訪れた横浜の街を舞台に、別れたあとも心に残る想いを綴ったラブソング。甘く切ないメロディに乗せて、かつての恋人への語りかけが続く。あの頃語っていた夢、その人がいなくなったあと、夢が叶った先の空虚さ。成功の先にある寂しさまでが、静かに歌われる。大人びた雰囲気のほんのりと悲しい恋の歌。

陽炎 シングル『Habit』カップリング

互いの本当の気持ちに気づかないまま、すれ違いを重ねて迎えた別れ。「もう諦めよう」と思うことだけが、今の二人にできる愛の形なのかもしれない。それでも消えない未練が胸を締めつける、切ない一曲。SEKAI NO OWARIのSaoriが作詞作曲し、FukaseとSaori、それぞれのバージョンで歌われている。

silent アルバム『scent of memory』

静かに雪が降るクリスマスの夜、ひとり街を歩く孤独を歌った楽曲。大切な人がそばにいない寂しさが、冬の冷たい空気とともに胸に沁みる。失恋なのか、叶わない片思いなのか。もしかしたら相手は誰かと過ごしているのかもしれない。だからこそ、クリスマスなんてなければと思ってしまう切なさ。

Mr.Heartache アルバム『Lip』

全編英語で歌われる楽曲で、タイトルは「心の痛みさん」といった意味になる。和訳された歌詞では、心の痛みに対してまるで古い友人でもあるかのように語りかけ、それを必要なものとして迎え入れる。痛みは敵ではなく、乗り越えるために必要な存在なのだという解釈もでき、また痛みが擬人化されることによって少しだけ心が軽くなる。失恋に限らず、さまざまな心の傷に寄り添う一曲。​​​​​​​​​​​​​​​​

amazarashi

僕が死のうと思ったのは アルバム『メッセージボトル』

秋田ひろむが中島美嘉に提供した楽曲。死にたいと思った理由が淡々と綴られていく。ウミネコが桟橋で鳴いたから、誕生日に杏の花が咲いたから、そして「あなたが綺麗に笑ったから」。でも、あなたのような人が生きている世界だから、少し好きになれた。絶望の先に、かすかな希望を見出す一曲。

無題 アルバム『爆弾の作り方』

絵を描く主人公と、その良き理解者だった彼女の物語。無名だった頃から、徐々に売れるようになり、その後、やがて人間の本質を描き出そうとしたとき、今度は人々が去っていった。彼女とも喧嘩別れをし、誰もいなくなった。それでも絵を描き続けたら──。喪失の先に見える光。

ワンルーム叙事詩 アルバム『ワンルーム叙事詩』

軽やかなメロディが印象的な楽曲。何もかもに負けてきて、すべてが燃えてしまえばいいと思うような絶望のなかでも、「人生には負けない」と歌われる。過去を燃やし、再スタートを切る勇気をくれる、応援ソングとしても響く一曲。

隅田川 アルバム『爆弾の作り方』

ゆったりとした厳かなバラードで、隅田川の花火の儚さと恋人との思い出が重なる切ないラブソング。「繋いだ手と手を離さなきゃよかった」「隅田川花火が咲いて その真下で出会いと別れ」という歌詞から、失恋なのか、自ら手を離したのか──いずれにしても、東京の夏の夜の風景が、別れの儚さをより美しく際立たせる。

さよならごっこ アルバム『ボイコット』

恋人なのか、大切な友人なのか。避けられない別れのもどかしさと切なさが描かれる。「さよならごっこ」という軽い響きで、これは一時的な遊びなのだと自分に言い聞かせる。「辛さなら背負えるから 痛みなら分け合えるから でも君のさだめまでは 肩代わり出来なかった」。精一杯支えようとしても、どうにもできなかった「さだめ」の重さ、別れの痛みが歌われる。

インストゥルメンタル

歌詞自体がもう疲れる、というようなときには、歌詞のない曲、いわゆるインストゥルメンタルもおすすめです。「言葉」によって癒されたり、励まされたり、ということはありませんが、心地よい音楽そのものが、心をなだめてくれます。

静寂に浸りたい、穏やかな風が鳴り響くような音楽が聴きたい。そういったときには、haruka nakamuraさんや、Hideyuki Hashimotoさんのような、美しく静かなピアノ曲も、寂しい夜に優しく寄り添ってくれます。