姉ネリスと弟ザジの自立の物語【ドラクエ7リイマジンド】
ドラクエ7には、とても人間らしい考えさせられるエピソードが多いなと思う。
ちょっと前のゼボットとエリーの話もそうだし、「過去のダーマ神殿」で、厳しい環境のふきだまりの町に住む、ネリスとザジという姉弟の話も、なんとも人間的な葛藤が描かれている。
姉のネリスは病弱で、そのネリスを心配しているのが、弟のザジ。ネリスは割と大人っぽい雰囲気があるものの、一方のザジは年齢的に結構子供っぽく見え、歳の差がある姉と弟なんだと思う。
ザジはとにかく姉のことが心配で、その心配のあまり、自分の存在意義をそこに求めてしまっている面がある。
だから、ネリスのことを好いているカシムにも攻撃性をむき出しにし、「僕が姉を守る役割を果たすんだ、姉のためならなんでもする」という強い気持ちが溢れているのだけど、実はそれがネリスにさえも重くのしかかっていることが後々分かる。
確かに、誰かを守りたいという気持ちは尊い。でも、それが自分のアイデンティティ、自分の存在意義になってしまっていると、下手したら、相手がいつまでも弱くあってほしい、自立しないでほしい、と願ってしまいかねない。
また、その相手のことを支えてくれる人が他にも出てきたときに、その存在が自分のポジションを脅かすのではないか、と不安になってしまうこともある。
この辺りの心理も踏まえ、その行動はほんとうの愛情ゆえなのか、それとも自分の存在価値をそこに見出してしまっているのか、ということが問われるかもしれないけど、でも、こういったことは、結構色々な関係において見られるような気がする。
この人は自分がいなきゃだめなんだと思うことによって、むしろ逆に依存してしまっている。
恋人同士なら、まだ行き過ぎなければそういった形によって継続することもあるかもしれないけど、そうではない場合には、摩擦や問題が起こると思う。
ドラクエ7で、そういったリアルな人間模様が盛り込まれているのが、なかなか生々しくて繊細なストーリーだ。
その後、ネリスはザジとの二人での会話のなかで、「私はあなたの重荷になっている、それが嫌なの」ということを直接伝える。
ネリス : もうヤメてよ。なぜそんなにまでして私につくしてくれるの? 私は自分のために誰かが犠牲になるのは嫌なの。たとえそれが弟であっても……
ザジ : 犠牲ってなんだよ。ボクは好きで姉さんの世話をあれこれ焼いてるんだぜ。
ネリス : それが苦痛なの。まるで私があなたの人生のお荷物みたいで辛いのよ。ザジがいなくたって、私は生きていけるんだよ。
ザジ : はは……結局、ボクのほうがお姉さんのお荷物だったってわけか。
結構ぐっと迫るものがあるシーンだ。
ザジからしたら、存在意義が揺らぐので抵抗するものの、結局は、自分がむしろ姉の負担になっていたのではないかと感じ、忌み嫌っていたカシムに姉を任せるようにして、一人で旅に出ることになる。
それはきっと、ザジにとっての自立と成長の旅なのだろう。
ちなみに、この過去のダーマ神殿編をクリアするために、ザジが途中で主人公たちと行動を共にして戦う場面があるのだけど、普通に強いという、一緒についてくるだけかと思ったら闘ってくれるんか、そして強いのか、と驚く。
これなら一人で旅に出ても、おそらくやっていける気がする。