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眠れぬ森の美女

ヨーロッパの古い民話で、『眠れる森の美女』という話がある。

呪いの影響から、100年間の眠りについてしまったお姫様が、100年後に、王子さまのキスによって目覚めることになる、という短くあらすじを言うと、そういった物語で、王子様がキスをするか、単に100年後に王子様が訪れたことで目覚めるか、といった辺りは、民話ゆえに各々で違いもあるようだ。

この『眠れる森の美女』という題名を、個人的には、『眠れぬ森の美女』と間違えて覚えてしまっているらしく、一瞬どちらか迷うことがある。

MISIAの歌で『眠れぬ夜は君のせい』という曲があった影響もあるかもしれない。また、「眠れる」よりも、「眠れない」ほうが、自分にとっては呪いという感覚がある上に身近な状態でもあり、「眠れない森」という深い夜のなかを彷徨っている美女、といったイメージを勝手に抱いていることから、「眠れぬ森の美女」という方向に引きづられる、ということもある。

他にも、たぶん、MISIAの『眠れぬ夜は君のせい』だけでなく、Do As Infinityの『深い森』のイメージも加わっている。

Do As Infinity / 深い森(Fukai Mori)

眠れぬ夜は君のせい+深い森=「眠れぬ森」が出来上がっていた。

そもそも、「眠れる森」という古い言い回し自体が、慣れていないというのもある。眠れる、というのは、この場合、「眠っている」という意味だ。

また、この言葉だと、「眠れる」が森にかかるのか、美女にかかるのかも難しい。「森の眠れる美女」だったら、まだもうちょっと分かりやすかったかもしれない。そのまま考えれば、「眠れる」のは美女、ということなのだと思う。

この物語は、邦題で『眠り姫』と呼ばれることもある。眠り姫のほうが分かりやすい題名になっている。

眠り姫と言えば、セカオワの曲にもある。あの曲は、セカオワのなかでも特に好きな曲の一つだ。メジャーデビュー3作目のシングルなので、結構初期の作品に当たる。

一緒に過ごし、色々なことを乗り越えてきた恋人(たぶん、恋人であろう「君」)の寝顔を見ながら、ふと、いつか君が目を覚さないときが来るのだろうことを僕が思う、という歌で、メルヘンやファンタジー的な歌詞と曲に包まれた死の予兆が、切なく調和している。

自分よりも君の死が先に訪れることを歌っていることから、もしかしたら、この相手は病気なのかもしれない。

残された時間のひとときなのか、あるいは、相手の儚い存在感ゆえに、きっと長くはないだろう、と日頃から感じ取っていたのかもしれない。その辺りは分からない。いずれにせよ、とてもよい曲だと思う。