このサイトでは、アフィリエイト広告を利用しています。また、感想に関しては、一部ネタバレを含んでいる場合があります。

「あの夏僕はさまよえる旅人」

朝目が覚めて、ふと、「あの夏僕はさまよえる旅人」という曲の冒頭の一節が蘇ってきた。

力強く、キリッとしたガールズバンド風の声で、リズムは、「あのなーつ、ぼくはー、さまよーえるたびーびとー」だ。

誰の曲だっけか、と布団に入ったまま、寝起きのぼんやりとした頭で考えた。

ガールズバンドの名前がいくつかよぎり、違うな、と打ち消す。ときどき口ずさむこともあり、メロディや声まで出ているのに、誰の曲だったか一向に思い出せない。

検索せずに思い出したかったが、結局諦めた。

スマホを開き、調べたら、そうだ、と思い出した。YeLLOW Generationの『北風と太陽』。イエジェネだ。

思い出せないのも無理はない。もうだいぶ前の歌だし、このミュージシャンの曲は、この一曲しか知らない。それでも、この歌の冒頭の部分が印象に残っていた。

あの夏 僕は 彷徨える旅人
取り囲むのは 夏なのに北風

YeLLOW Generation『北風と太陽』

おちまさとプロデュースの女性三人組ボーカルユニット。おちまさとプロデュース、という言葉も懐かしい。その頃よくテレビ番組のスタッフロールなどに、平仮名で「おちまさと」とあり、不思議な名前だな、と思っていた。

僕が当時好きだった、『ガチンコ』や『学校へ行こう』『ウンナンの炎のチャレンジャー』などのプロデューサーで、『内村プロデュース』の企画構成にも携わっている。

どれも本当に懐かしい。特に内Pは、毎週の生きる支えの一つでもあった。この番組が来週も見たいからもうちょっと生きよう、というくらいの感覚だった。

今でこそものすごい存在になっている有吉さんも、この内Pのちょい役から再び人気が出てきた印象がある。

そのおちまさとプロデュースということで、当時少し話題になった女性ボーカルユニットがイエジェネだった。

この『北風と太陽』は、オリコンで最大5位。オリコン、今はもうそこまでの影響力は持っていないが、その頃は、とにかくオリコンのCD売り上げランキング自体が、音楽の主要なエンタメ要素の一つでもあった。

テレビの音楽番組ではよくオリコン順位が紹介され、トップテンに入ると、割と長めにMVミュージックビデオ(昔はPVプロモーションビデオという言葉を使っていたが、今はMVのほうがよく聞く)が流された。

クリープハイプの『社会の窓』という曲では、「オリコン初登場7位、その瞬間にあのバンドは終わった」という歌詞が出てくる。

自分の好きな、それほど有名でもないインディーズバンドが、自分の心を代弁してくれたあの曲が、メジャーデビューし、オリコン初登場7位などという光の世界に行ったら、もうこのバンドも終わりだ、といった意味だと思う。

それくらい“オリコンの順位”が幅を利かせていた。このオリコンで上位に入り、テレビで紹介される、ということがきっかけで、さらに知られ、広がっていく。

この頃はYouTubeもなかったし、ネットもそれほど使っていなかったから、オリコンランキング由来で全国放送の音楽番組に紹介されるということが、MVを見る数少ない機会の一つだった。

この『北風と太陽』という曲も、多分僕はオリコン上位に入ったときにテレビで観たのがきっかけだった。

その際に印象に残り、 TSUTAYAで借り、MDに移して聴くようになったのだと思う。

あの夏、僕はさまよえる旅人 ── MDの何曲目だったか、序盤のほうだったなと思う。

イエジェネは、2002年にデビューし、その年に、二作目のシングルとして『北風と太陽』をリリース。ドラマの主題歌にもなり、イエジェネにとって最大のヒット曲となる。

ただ、その後ヒット曲に恵まれず、2006年に解散している。

昔と違って、テレビから消えたら、そのままどこへ消えてしまったか分からなくなる、という時代でもなく、ネットで調べれば、解散後のそれぞれの活動も、今の当人たちのブログやSNSも見られる、ということにも時代の変化を感じる。

消えた、とよく言われるが、当然ながら、消えてはいない。その後の人生をちゃんと生きている。