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テレビゲームから学んだこと

親が、テレビゲームばかりしていないで勉強をしなさいと言いたくなるのは当然のことではある。それは、ゲームよりも勉強のほうが得るものが多く、知識や考える力というのはもちろんのこと、学校の成績が学歴に繋がり、学歴が仕事に繋がり、将来の安定に繋がる、といった(今は必ずしもそうとは言えないが)直接的なことに直結している、と考えているからかもしれない。

その直接的な将来のことや、学校の勉強が大事か否かの議論は置いておくにせよ、単純に、自分の好きなことに関して学ぶことは面白いし、学ぶに当たっては、実際に身体を使った実体験と読書という二つが特に必要で、その読書による学びの経験を、学校の学習を通して積んでおくというのは大事な一つの側面ではある。

一方で、自分の経験的に、子供の頃は、他の子供たちと同様漫画やゲームも結構がっつり行った。勉強が好きになったのは、不登校になって何年もしてからのこと、その期間に小説を読んだりするようになり、読書への抵抗感もなくなったこと、また学ぶことへの飢餓感からか、ある拍子に、勉強がしたい、学んでいくことが面白い、という気持ちになっていた。疲れたら空白を欲することは自然の反応で、空白の期間がしばらく続けば、また何かを欲するようになるものだ。別に子供の頃に勉強が嫌いでも、どこかのタイミングで一転して好きになることは全然ある。なんにせよ、押し付けられるものは大人だって嫌だと思う。

その上で、ゲームについて言うと、僕自身は、子供の頃にゲームをやっていてよかったこともある。今とだいぶゲームの質も違うから、あくまで個人的な体験になるが、たとえば、ドラクエやファイナルファンタジーなどRPGゲームにおいて、重要なことに「レベル上げ」がある。平凡な敵をコツコツと倒していくことで経験値を積み、レベルを上げる。レベル上げは、地味な作業だが、その結果として強くなり、敵を倒せるようになる。また、コツコツと倒すことでお金を稼げ、より優れた武器や防具を購入することもできる。特に、この「レベル上げ」の感覚は、後々においても残っている。「地道に経験値を積み、レベル上げをしていくと、次のステージに立てる」というのは、今でも大事にしていることだ。

ただし、これはゲームだけでなく、部活動の経験や、趣味でやっていたギターなど、色々な実体験も関わってくるし、この「レベル上げ」に関する、現実とゲームの違いを挙げるとすれば、現実社会では、間違った努力によって、永遠に停滞する、ということがあり得る。加えて、頑張り過ぎれば怪我や病気もする。ゲームの場合は、正しい努力(現れる敵をひたすら倒す)が与えられているし、宿にさえ泊まれば回復し、延々続けられる。最悪死んでも生き返る。リセットもある。現実は、自分でやり方を学びながら、これがいい努力だ、自分に合っている継続方法だ、ということを見つける必要があるし、やりすぎ注意で、日頃の心身のケアも必要になる。その辺りの違いさえ気をつければ、「レベル上げ」という感覚を知っていること自体は、「継続」に関する学びになる。

また、こういったRPGゲームだと、村人など色々な人の話を聞く。一見するとなんでもないような村人に声をかけることで事態が進展することもある。また、色々な場所を調べる。他人の家のタンスや壺も調べるし、お金持ちそうな家の隅に置いてある宝箱も開けて中身を持っていく(実際に行ったら犯罪だ)。これも、必ずしも近道すれば最短で進めるというものではなく、「色々な場所にヒントが落っこちている」ということが学べる。色々な人の話をよく聞く、よく調べる、こういったことを踏まえながら、ちょっとずつ進んでいく、という経験は、幅広く、丹念に色々な声を聞いたり、色々な場所を調べたり、そのなかで見えてくるものがある、という発想に繋がり、この感覚も、現実世界において活きているように思う。

先を急がず、焦らず、一つ一つを丁寧に探っていくと、次に繋がるヒントが手に入る。

今挙げた「学んだこと」は、僕が子供の頃に行ったRPGゲームに限ったことだが、他にも育成シミュレーションゲームで身につけた感覚もあるし、様々な分野のゲームに関し、それぞれの学ぶことというのはあるのではないかと思う。そもそも、自分がどんなゲームが好きか、好きだったか、ということを振り返るだけでも(これはゲームに限らず、スポーツや漫画、映画、音楽など、様々なことに言える)、ああ、自分はこういったものが好きなんだな、こういった瞬間に惹かれるんだな、この辺に昔からの一貫性が見られるな、という自己分析に繋がる。

もちろん、ゲームのやり過ぎは問題だと思う。それはゲームがやっていて無駄だからというよりも、単純に目の負担含めて体によくないからで、その生活のバランスにさえ気をつければ、必ずしも悪いことではないし、自分のなかでゲームから学んだことというのは決して少なくないと思っている。