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どうしても覚えられない漢字

子供の頃から漢字が苦手だった。小中と学校の勉強が必ずしも苦手だったわけではないものの、試験に関して言えば、漢字のテストは圧倒的に低い点数だった。よく漫画を読んでいたこともあってか、漢字の読みは結構得意だったものの、書きとなると、とたんに下がり、おそらくクラスでも最低点に近いくらい低い点数のときもあった。小学生の頃には、思いっきり低い点数を取ることが、もはやストレス発散のように痛快ですらあった。

なぜ漢字が苦手だったのか、今でもよく分からない。単純に記憶力の問題なのか、でも、他の記憶力を使ったテストと比較しても、格段に漢字の点数は低かった。今でこそ、漢字変換機能があるから、文章もすらすらと書けるものの、完全に手書きで、その都度自分の頭で漢字を書かなければいけないとなったら、その労力に脳の許容量が持っていかれ、文章があまり書けなかったのではないかという気がする。

また、いつまで経っても、どうしても覚えられない漢字、というのもある。まるで棚と棚の隙間に落ち、ちょうど手を伸ばしても届かないように、繰り返し、ちゃんとしようと思っても、ついつい間違えてしまう漢字がある。

その漢字というのが、「短」である。

部首が「矢へん」で、右側に「豆」という簡単な漢字だ。小学校の何年生くらいで習ったのだろうか。あるサイトには、三年生とあった。確かに、その辺りだったと思う。初歩的な漢字の一つである。それにもかかわらず、僕は手書きで書くと、今でもつい間違えてしまうことがある。どんな風に間違えるかと言うと、この「短」の左右を逆にしてしまうのだ。「豆矢」と、いったん左右逆に書き、それから、これは「短」ではないと気づき、元に戻す、というまでが、もはや一連の書き順にすらなっている。どうしても癖で逆にしてしまうみたいだ。

これが一体なぜなのかということを自分なりに考えてみると、「頭」という漢字につられているように思う。

この「頭」も、小学校の早い段階で覚える漢字で、小学校二年生のときに習うようだ。当時僕は、「頭」が出てきたときに、「とんでもない大物が現れた」という印象を持った。今まで見た漢字のなかでも、明らかに風格が違う。果たして、これはどうやって覚えたものか、と悩んでいたときに、担任の先生が、覚え方として、「イチクチソイチ、イチノメハ」という合言葉を教えてくれた。頭という文字が、「一と口とソと一、そして、一とノと目と八」で成り立っているゆえの言葉である。

僕は、よく頭のなかで、「イチクチソイチ、イチノメハ」と唱えながら、この難しい漢字を覚えていった。僕のなかで、漢字を覚えたという記憶が一番濃厚なのが、この頭なのである。そして、この頭の左側が豆であることに引きずられ、ついつい「短」も左側が「豆」だという流れが染み付いているのだと思う。

僕が「短」をすんなりと書けるようになる日はくるのだろうか。

それにしても、僕は読書感想文が苦手で、漢字も苦手だったために、子供の頃は「国語」という教科に、あまりいい印象を持っていなかった。だから、後々普通に本を読んだり、文章を書いたりすることが好きになるとは、思ってもみなかった。