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もののけ姫の音楽のレコード

スタジオジブリが、ジブリ製作映画のサントラのアナログレコード版を出している。映画公開時に出されたレコードということではなく、昨年の6月に、12作品のサントラが限定生産で発売された。ずっと欲しいなと思いながら、そんなにあれもこれも買うとなったら、とてもお金が足りないし、とりあえず一枚だけ買おうと思って、どの作品がいいか、しばらく色々と考えを巡らせた。悩んだのは、高畑監督の『かぐや姫の物語』と、宮崎監督の『風立ちぬ』『もののけ姫』だ。結構ぎりぎりまでかぐや姫にしようと思っていた。かぐや姫は、あの愉快かつ軽やかで圧倒的な力によって月に連れていく際の天人の音楽(「怖い」という声もある)が好きで、他にも、静かなシーンの音楽もいいから、かぐや姫のサントラにしようと思っていたものの、直前で、ふと、もののけ姫のサントラをレコードで聴きたいなと思った。理由は、そういう気分だったから、という他にない。ただただ打ちのめされるような音楽が聴きたくなった。いずれにせよ、作曲は久石譲さんが担当している。レコードは、ジブリの公式ショップで購入し、注文から一週間ほどして届いた。

もののけ姫のサントラの壮大さがレコードに合うな、と思いながら、さっそく部屋で流している。もののけ姫の音楽は、どれも決してポジティブな曲調ではなく終末的な雰囲気も漂っているのに、「再生」が描かれているから、聴いていると自分自身の終末的な感情に寄り添いながらも最後は掬い取って「生きよう」と思わせてくれる。その抑揚が美しい。宮崎駿監督の作品は、子供に向けた映画ということもあり、基本的に絶望や悲しみで終わることはなく、希望が描かれているが、それでも、ナウシカやもののけ姫は人類の終末的なテーマも根幹にあるから、暗い音楽もある。しかし、終末だけでなく「破壊と再生」がテーマで、この再生の部分が、ちゃんと音楽にも反映されているから、夜一人で聴いていても、決して暗くはならない。夜通し泣いて、気づいたら眠り、やがて静かな朝がくる。そんな音楽だと思う。悲しみに静かに寄り添ってくれる悲しい音楽も必要だが、こんな風に終わりつつ始まる、という雰囲気には心が救われる。

最近は、カセットでVaundyの曲を聴き、レコードではもののけ姫を流している、という部屋の音楽事情。冬場の寒さも、だんだんと落ち着いてきた。立春も過ぎ、春の色を帯びた、暖かい光が辺りを差している。