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一切シャットアウト、「人間関係リセット症候群」

人間関係リセット症候群とは

ときどき名前を聞く言葉に、「人間関係リセット症候群」という用語がある。

この言葉は、名前に“症候群”とついているものの、医学的な病名ではなく、現代生じている、人間関係における一つの状態を指す俗語として用いられている。

人間関係リセット症候群とは、その名の通り、「ある日突然、人間関係を一切シャットアウトしてリセットしてしまう状態のこと」を意味する。

ある日突然全ての人間関係をシャットアウトしてしまう、あるいはそれに近いことをしてしまう人のことを俗にさして使う用語です。

例えば、SNSでしつこくしてくる人をブロックした等、理由があって特定の人をシャットアウトするのは、人間関係リセット症候群にはあてはまりません。ある日全てが嫌になって、アカウントごと削除してしまうような状態が人間関係リセット症候群です

突然SNSから消える「人間関係リセット症候群」の対処法

シャットアウトとは、「締め出すこと」という意味で、人間関係を一切シャットアウトする、またそれに近いことをする行為が、概ね、人間関係リセット症候群と定義づけられている。

この記事の説明にもあるように、たとえば誰か特定の人間をブロックし、もう連絡は取らない、向こうから見れないようにする、関係を遮断する、といったことは、「人間関係リセット症候群」には当てはまらない。

嫌な人や、面倒な人から距離を置き、心をシャットアウトしたり、人間関係を整理するのは、自然なことだからだ。あくまで、「人間関係リセット症候群」は、ある日全ての人間関係をシャットアウトする、リセットする、ってしまう、ということを意味する。

LINEを消す、SNSのアカウントを削除する、電話帳を消す、一切電話に出ない、といったこともあるかもしれない。

今は、現実とネットの繋がりが必ずしも分かれていないこともあり、厳密な定義や境界線を引くことは難しいにせよ、どちらかと言うと、現実の人間関係よりは、主にSNSやLINE、場合によっては電話番号など、ネットやスマホを通して繋がっている関係性をリセットしたくなる、リセットを何度も繰り返してしまう、といった心理状態を意味していることも多いように思う。

俗に言う、X(Twitter)やインスタなどの「垢消し(アカウント削除)」が、その代表例と言える。たぶん、これは「繰り返す」ことが可能だからだろう。

そもそも、色々なことをいったんリセットし、一から始めたい、誰も自分のことを知らない場所で、もう一度人生をやり直したい。ここではないどこかに行ってしまいたい、といった感覚は、それほど珍しいものではなく、言ってみれば「出家」というのも、ある種、その延長や末路にあるものではないだろうか。

ただ、現実の人生で今まで築いてきた人間関係を、完全に全てリセットするというのは、結構な労力と覚悟を要する。人生の一大決心であり、人生観も問われる、基本的には、一度きりしかできないほどの重大な決断になる。

一方、現代に蔓延する、SNSやLINEを中心とする、「繰り返す」ことのできる人間関係リセット症候群は、その原因の一つとして、SNSなどによって気軽に繋がることができ、かつ繋がり過剰な世の中で生きていくことの息苦しさなどもあり、心の防衛本能として行われる側面もあるのではないかと思う。

SNSなどで、簡単に人間関係が作れる。人とLINEを交換できたら、次々やりとりができる。インスタントな繋がりが、どんどんと増えていく。昔より簡単に、一時的な“寂しさ”は埋められる。

しかし、繋がりが増える、ということは、同時に、その相手のなかに、自分という存在が蓄積されていく、ということでもあり、あちこちで自分の痕跡を残すということにもなる。

Xやインスタなど、ネット上にも、自分の感情がこびりついた言葉や写真が増えていく。繋がりが増え、痕跡が増えれば、生きてきたこと、生きていくことの重みが増えていくことにもなる。

結局、その自分の蓄積や他者とのしがらみ(傷つけたり、傷ついたり、面倒だったり、不安や嫉妬だったり、という諸々のこと)などの重みに耐えきれずに、あるとき、全部ゼロにしたくなる、という衝動に駆られる。

全部壊したくなる。まっさらにしたくなる。すっきりしたくなる。

繊細さもあり、生きるのが辛く、日々の寂しさゆえに繋がりを求めては、その繋がりの重さに耐えられなくなる(あるいは、誰かの言葉がきっかけで、自分の存在が全否定されているように感じて消えたくなる)といった悪循環にはまる。

傷つき、繋がりを求め、重くなり(あるいは落胆し)、リセットする。傷つき、繋がりを求め、重くなり(あるいは落胆し)、リセットする。この無限ループから抜け出せなくなる。

また、過緊張状態の世の中では、常に心身ともにいっぱいいっぱいの状態が続き、ちょうど緊張の糸が切れたり、張り詰めた風船が割れたり、満ち満ちたコップが最後の一滴で溢れるように、他人から見たら些細なことがきっかけでも、全部嫌だ、という感情に襲われる。

この際の行為が、「人間関係のリセット」になる。

現代社会は、色々なものが多すぎるのだと思う。情報も、言葉も、刺激も、人間関係も、物も、過剰になっている。

だから、その反動や自然な反応として、情報断食であったり、デジタルデトックスであったり、断捨離であったり、といったキーワードが、本やネット記事などでもよく見られる。

本来、人間はそんなに数多く持ち歩くことができず、疲れ切った末に、減らしていく、少なくする、整理していく、といった風潮になる。

以前、X(Twitter)で拡散していた投稿に、「みんな疲れ切っている」とあったが、その通りだと思う。

こういった流れもあり、その一つの対策として、「人間関係の整理」を求めるようになる。

ただ、先ほども触れたように、色々な整理の一環としての人間関係の整理と、人間関係リセット症候群には違いがある。

リセット証拠群の根底には、根深い「寂しさ」があり、その解消のためにSNSなどで繋がりを求めてしまっては、求めた結果、膨れ上がって重みに耐えられなくなり、一気にリセットしてしまうことを繰り返している、という側面も大きいのだと思う。

それは言うなれば、次々に過食のように食べては、許容量を越えて嘔吐する、ということに似ているのかもしれない。

やめたいのに、繰り返す。やめたいのに、やめられない。人間関係リセット症候群は、愛の過食症のような面がある。

人間関係を一度はリセットしてみたい欲求があることと、人間関係をちょっと積み上げてはその都度リセットする、ないしは垢消しを繰り返してしまう、というのは、だいぶ度合いの異なる心理状態であり、ある種の「サイン」でもある。

人間関係リセット症候群の原因に関しては、「疲れている」ことに加え、「寂しさ」があり、その点を、もう少し深掘りすれば、「誰かに自分のことをわかってほしい」「100%受け止めてほしい」という心理が隠れている場合もある。

家庭環境や過去の経験による、幼い頃からの「受け止めてもらえなかった」という悲しみの蓄積で、誰かに自分のことをわかってほしくて、本当に全てをわかってくれる、親のような存在を探し、繋がりを求めては、この人はわかってくれそうだ、という人と関係を築く。

場合によっては、依存状態に近いような繋がり方をする。

そして、相手の反応が、自分の抱いている期待に少しでも届かないと(期待と違う反応や、自分への不理解が見えると)、もういい、全てを終わりにしたい、関係を断ちたい、という感情に襲われる。

SNSを見ていると、いわゆる人間関係リセット症候群なのだろう、という人はしばしば見かける。

SNSでは、突然消える、アカウントを削除していなくなる、という人は結構多いのではないかと思う。それは、SNSでは本音を書きやすく、そういった「誰か」と繋がりやすい傾向にあるから、ということもあるのかもしれない。

リセットは、「された側」としても、それはそれでショックを受けることになる。

リセットされると、「切られた」感覚になり、怒りに変わることもあれば、悲しみや落ち込み、罪悪感が生じることもあるかもしれない。

SNSは、現実世界よりも、逆にお互いのことを知らないゆえに話せることもあり、結果として、現実世界の友人や家族よりも、SNS経由で繋がった人のほうが、部分的に深く知っている場合もある。

だからこそ、深い関係性だと思っていたら、突然リセットの一環で関係が断ち切られる、ということになると、(慣れていない限りは)戸惑いや動揺も大きくなる。

自分のせいではないか、という自責の念や、もう二度と繋がることはないかもしれない、という別れの悲しみだけでなく、なんとなく、都合のいい「モノ」のような扱いを受けたように感じる、ということも、リセット「された側」の感情が揺さぶられる理由の一つに挙げられるかもしれない。

 

治し方と対処法

この人間関係を繰り返しリセットしたくなる状態を、「治したい」「変わりたい」と思っているかどうかは、本人の自覚の度合いにもよる。

リセットして何が悪いのか、という考え方もあるだろうし、実際、そのことによって気分がすっきりし、心が守られるのなら、必要なときもあるかもしれない。

また、人間関係をリセットし、一時的でもスマホをやめるなど、広い意味での断捨離を行うのなら、メリットもあると思う。「心を閉ざす」というのは、「守る」ということでもある。

しかし、何度も繋がってはリセットを繰り返してしまう、自分ではやめたいと思っているのにやめられない、ということでは、メリットとは言えない。

寂しくて繋がっては、耐えられなくなって消えたくなって削除する、ということが、たとえその瞬間はすっきりしたとしても、中毒性を帯びて何度も何度も行っていたら、末路は、ささやかでもあった繋がりさえもなくなり、本当に誰もいなくなってしまう孤独になる。

治し方という発想は、あくまで、そんな悪循環の状態から抜け出したい、少しずつでも変わりたい、という場合によるものの、自分なりに人間関係リセット症候群の治し方や対処法について考えてみると、たとえば、「人間関係に限らず、色々と整理してみる」というのも大事な一つの方法ではないかと思う。

そもそもが、もう色々といっぱいいっぱいの状態で余裕がないゆえに、「ゼロにしたい」衝動も起きている面があるので、日常生活や仕事のこと、部屋の物など、リセットの対象を、もう少し幅広く捉え、一度立ち止まって「整理してみる」ということに目を向ける。

言ってみれば、人間関係も含めた、大きな「箱」があり、その箱の容量が溢れそうになっていることから、人間関係もリセットしたくなる、という状態になっているので、人間関係に限らず、もっと幅広く、この箱の中を整理してみることによって、「本当に大切な人(捨ててはいけない人)」を切ってしまうような状態を避ける、ということである。

たとえば、日々の生活で、ストレスや刺激となりそうなものを減らし、重荷となっているものを下ろす。幅広く、整理してみること。

また、リセット癖のように、あまりに中毒的に繰り返してしまうようなら、カウンセラーに相談してみるなど、外の専門家の意見を取り入れたり、そういった専門家に不安や悲しみを吐き出してみたり、あるいは、ちょっと長い休みを取ってみるのも重要だと思う。

人間関係をシャットアウトしたい、という衝動は、頭や心や体の休息が必要だというサインでもある。

その上で、SNSを続けるなら、人間関係の「距離感」に注意するといいかもしれない。あまり他者に多くを求めない。やりとりも、ほどほどにしておく。敬語を使ったり、それほどプライベートなことは話さず、適度な距離感で接する。

どうしても関係を深めていきたいと思った人とだけ、少しずつ、時間をかけて関係性を育んでいく。

今は、色々と速度が速すぎるのだと思う。関係性をゆっくりと育む、ということも、大事な対処法になる。

また、その際は、100か0か、という極端な発想をやめるように心がけ、相手に「100点」を求めないことも必要になる。

この世界に、100点の完全な理解などはないんだ、と諦める。ささやかな理解や支えに感謝する。

この他者の愛への100か0かという発想は、家庭環境などによる心の傷や完璧主義の性格なども原因となっているかもしれないが、理想とする「100点の愛」に固執すると、仮に相手の対応が80点だった際でも、足りない20点の方向に目を向けがちになる。

しかし、減点方式で判断するのではなく、80点もすでに与えてくれている、という風に、求めすぎを改め、「もらっていること」に目を向けるようにしないと、その都度、幻滅や不満の繰り返しになる。冷静になってみたら、もう十分わかってくれているなぁ、と思える人を大切にしたい。

それから、リセットしたくなる衝動が、不安感や苛立ちとも結びついている場合、深呼吸を心がけたり、散歩をしたり、マッサージに行ってみたり、心身をリラックスさせる習慣を探してみることも必要になる。

体の過緊張は、心の緊張や不安感にも繋がる。自律神経の問題や、女性の場合はPMSなど、身体面も、不安感や怒りの感情、突発的な衝動には関連している。

食事面(精神的なことには食事も深く関係している)を考え直したり、ヨガや鍼灸、マッサージなど、身体的なアプローチの習慣も考えてみたほうがいいと思う。

加えて、人間関係をシャットアウトしたい、全て消したい、という衝動に駆られたら、ひとまず時間を置いてから考え直すようにする、ということを予め決めておく。

その際には、「ひとまず時間を置いてから」ということを思い出すこと。リセットしたいと思ったら、スマホの電源を切り、少なくとも、「一晩」だけでも間隔を空ける、といったように自分で決めておく。

逆に言えば、リセット(全削除)まで行かずに、一時的な精神面のシャットアウトで止める。

ちょっと辛いからということで閉じこもって連絡を控える。予兆を感じたら、いったん閉じこもる(大事な人には、そうなることを伝えておいてもいいかもしれない)、というのがリセットの回避に繋がる。

予兆を感じ取ったのに、そのまま我慢を続けると、まもなく、より大きな「リセット」衝動に襲われることになる。

一方、リセットされた側の対処法としては、自分の一言が原因になったのではないかと自分を責めてしまう人もいるかもしれない。特に、人間関係をリセットする人に慣れず、突然姿を消されると、そのショックは相当なものになるだろう。

でも、あまり個人で深く考えこんだり、抱え込まないほうがいいと思う。

もともと、その人は別のことも含めて、もういっぱいいっぱいで、たまたま最後の一滴に自分の一言がなってしまっただけかもしれないし、全く関係ないかもしれない。

リセットしたまま、戻ってこない人もいる一方で、後悔したり、寂しくなったりということから、しばらくしたら戻ってくる場合もある。

振り回され過ぎずに、自分は自分、他人は他人という割り切りの気持ちと、もしやりとりで踏み込みすぎてしまったようなら、自分のなかでも、SNSにおける境界線や距離感を考えてみる機会にするとよいと思う。

また、「人間関係リセット症候群」として話題に挙げられるほど、よくあることでもあり、社会的な問題でもある、という点を知っておくだけでも捉え方は違ってくると思う。

 

まとめ

改めてまとめると、人間関係リセット症候群に悩んでいる場合、自分が、全てをわかってくれるような存在を探していること、完璧主義や潔癖主義のように、「100点の理解者」を求めてしまっては幻滅しているのではないか、と振り返ってみること。

そして、もしそうなら、そういった存在は結局はいないということ、ささやかな理解や支えに感謝すること、全てをわかってほしくて焦って全てを曝け出すようなことはしないこと。

消したくなる衝動が訪れたら、時間を置いてしばらく休んでから考えること、ゆっくりと、地道に関係を築いていくことなどを大切にする。

人間にあまり期待しすぎない、他人は自分の思い通りにはいかない、ということを知ることが大事になる。

その上で、自分の生活を整理し、休息が取れそうなら、じっくりと休息を取る。自然の豊かな場所で、少し人間関係から離れてのんびりした時間を過ごすこともいい。植物や動物と暮らす、というのも一つの対処法になると思う。

自分自身の心身の余裕のなさに加え、どこまで行っても人間は人間であって、神様でも、幻想の親でもないし、求めすぎても仕方がない、という諦めと、どこかで向き合うことが必要なのだと思う。