朝目が覚めて、何気なくTwitter(なかなかXという呼び名に慣れない)を見ていたら、霜降り明星のせいやさんが結婚し、子供も生まれる、というニュースに驚いた。
霜降り明星は、好きなお笑いコンビの一つで、深夜ラジオのオールナイトニッポンも初回から聞いている。でも、体調のこともあって夜は眠らないといけないから、リアタイは出来ずに、大抵は土日にradikoで聞く。
結婚の話は、ニュースで知り、ラジオの内容も書かれているかと思ったから記事は読まずに、そのままradikoに飛んだ。
せいやさんにもともと彼女がいるという話は、普通に公になっていた。先週のラジオでは、その彼女の写真が、モザイクありとは言え、一般人なのに週刊誌に載ったことに対し、激怒していた(ビートたけしさんのモノマネをしながら、襲撃に行く、と言っていた)。あの強い怒りも、結婚や妊娠があったから、報告のタイミングというのもそうだし、奥さんを守りたい気持ちも、いっそう強かったのかもしれない。
ラジオでは、粗品さんが、インタビュアーのような形で色々と質問をし、せいやさんが、随所にボケも挟みつつ真面目に答えていた(奥さんのことは「嫁ちゃん」、生まれてくる子供のことは「おばぶ」と呼んでいた)。
出会いは、友だちの紹介で、奥さんとはサザン好きという共通の趣味があること。イタリアの旅行には奥さんも一緒に行っていたこと。ほとんど喧嘩はしたことがなく、せいやさんのできない部分もよく分かって笑ってくれること。「芸人」として見てくれていること。また、プロポーズの際のちょっとした失敗談など、二人に関する話をたくさん語っていた。
それから、穏やかな日常が送りたい、ということも言っていた。途中、ふいに、結婚して、子供も産まれたら、自分はどうなるのか、変わったらどうしよう、と不安になったせいやさんが、「芸風とか変わらんよな、ファンとか減らんよな、大丈夫よな」と心配になる場面があった。
不安になるせいやさんに、粗品さんが、笑いながら、「変わらんし、変わってもお前やろ、ええやんけ」とさりげなく返していた。その声も言葉も優しい響きで、聞きながら思わず泣きそうになった。変わらないし、変わってもお前だし、ええやんけ。
変わったらどうしようと不安になっているときに、こんなに優しい言葉はないと思う。ええやんけ、という関西弁も、「いいじゃんか」では言い表せない温もりがあった。その粗品さんの言葉でCMに行き、また始まったら、粗品さんが号泣、メールが読み上げられない状況になっていた。
せいやさんは、結婚や妊娠に当たって、「目標ができた、自分の子供がお笑いを認識するまでは、第一線でお笑いの世界にいたい」と言っていた。その話を聞きながら、僕は、「子供がお笑いのことを分かる年齢って、いくつくらいだろうな」と考えた。
お笑い芸人を嬉しそうに見ること自体は、幼稚園でも全然ある。でも、ちゃんと「お笑い」として認識して好きになるとしたら、もっと物心ついてからになるのだろう。僕は結構遅かった。小学校高学年で、周りがバラエティ番組の話をしているのを、遠い目で眺めていた。お笑いは「大人のもの」という印象があった。
ちゃんと興味を持ったのは、高校になってからだった。幼馴染の影響で、NHKの爆笑オンエアバトルを観たことがきっかけで、お笑いを意識して観るようになった。最初に好きになったのは、爆オンのチャンピオン大会で観た、スピードワゴン、チュートリアル、チャイルドマシーン。それから、レギュラー放送でときおり見かけたキングオブコメディだった。当時は長らく不登校だったし、病院にも通っているなかで、お笑いには本当に救われた。
それにしても、結婚報告の放送回は、終始、暖かかった。朝方の窓から入り込んでくる風が涼しく、今日は肌寒ささえある秋の装いだったのに、ラジオのなかの世界はとても暖かかった。