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冬目前に出会った、色の薄いてんとう虫

別に虫が特別大好きというわけでもなく、なんなら苦手なことが多い。ただ、てんとう虫は美しいなと思う。誰かが、「自然は長い歴史の答えである」と言っていたことがあり、そんな言葉を思い出しながら、いつだったか、芝生に座り、草にひっついて歩いている真っ赤に黒い斑点のてんとう虫を眺めていたら、いっそう感慨深く思えた。

てんとう虫と言っても、色々な種類があり、あの赤色のよく見るてんとう虫は、ナナホシテントウと呼ばれ、この名前は、黒い斑点が7つあることに由来する。てんとう虫という名前に関しては、漢字で書くとお天道様の虫で「天道虫」と書き、これは、てんとう虫に、枝先まで行って、行き場がなくなると、上に飛び立つ習慣があり、この様子を、太陽に向かって飛んでいくと捉え、太陽神の使いの虫であると考えられたことに由来するという。お天道様の虫、と聞くと、ありがたい名前に思えてくる。

今日もまた、一匹のてんとう虫と出会った。窓を開けたら、隅っこのほうに、あまり元気の良さそうには見えないてんとう虫がいた。模様的に、ナナホシテントウなのかな、と一瞬思ったが、ちょっとだけ印象が違う。てんとう虫と言えば、真っ赤に輝くような色とイメージだが、このてんとう虫は、色が薄いのが特徴だった。赤と言うよりは、オレンジ色や黄色に近い。人間で言えば、ちょっと顔色が悪いような印象さえ抱く。隅っこで、ぴたっと止まったまま、あまり動く様子もない。てんとう虫は、成虫が見られるのが、季節的には、春先から秋にかけて、となっている。ただし、夏場は暑さのためにススキの根元などにもぐり込み、「越夏」する習性がある。また、冬になると、家屋の隙間や草むらなど、寒さをしのぐ場所で冬を越すと言われている。要するに、春や秋というのが、よく見られる季節なのだろう。色が薄いのは、冬を目前にして、だいぶ寒くなってきたから、元気がなく、弱っているためなのだろうか、と思ったが、もう一度よく見直してみると、背中の斑点模様の数も多く、どう見ても、7つ以上ある。これはよく見るナナホシテントウとは違うのか、と言うことで、調べてみると、ナミテントウという種類があり、このナミテントウは、色も黄色や黒や橙色などバリエーションが豊富のようだ。

てんとう虫

多分、ナミテントウなのだと思う。色が薄いわけではなく、オレンジ色のナミテントウということなのだろう。ナミテントウも、「並」という名前がつくくらい、街中で見かけることの少なくない一般的なてんとう虫の一種で、冬は寒さを凌いで乗り切るようなので、窓の隙間の風が当たらない場所に隠れているのかもしれない。

最近は、11月もまもなく終わりという時期にもかかわらず、昼間は20度越えの日もあり、眠くなるような、ふわふわとした陽気と思いきや、翌日には、一気に冬の始まりにふさわしい気温に下がるなど、寒暖差のある日が続いている。てんとう虫も、まだときおり日中に暖かさが残るうちに、越冬できそうな居心地のよい場所を探しているのだろうか。てんとう虫の向こうの窓の外では、銀杏がすっかり色づき、陽の光も相まって、とても綺麗な光景が広がっている。